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ユング心理学へのいざない -内なる世界への旅‐

「私の一生は、無意識の自己実現の物語である。無意識の中にあるものはすべて、外界へ向かって現れることを欲しており、人格もまた、その無意識的状況から発達し、自らを全体として体験することを望んでいる」ユングは彼の自伝の冒頭に記しています。無意識の中にある自己という存在が、それ自体の意志で、無意識的な暗さを嫌って、意識の光の中にあらわれたがっているというように解釈できる言葉だと思います。

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それ(マンダラ)はユングにとって、全体としての自分の表現でした。そして、人間の一生は、その全体としての自分を少しずつ実現していくことであり、また、その中心にある自己も、機会あるごとに、人間の意識の上に姿をあらわそうとしているものと考えました。・・・しかし、心理的な危機を体験した人は、その悩みが解決する時に、しばしば、この全体的な一体感を感じます。そして自分の意識を超えた超越的ななにものかの力がそこに働いていることを知ります。

その力を神とよぶ人もあり、仏という人もあるでしょう。しかし、ユングは、それこそ自分の中に無意識のまま潜んでいる心の全体像のはたらきであり、神や仏と呼ばれるものの恵みを運ぶものであろうと考えました。(99)