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ヒトラーとオカルト伝説

1920年代、ヒトラーはシュタイナーを自分にとっての最大の敵とみなし、政治集会において彼を悪しざまにののしり、魔術を用いてドイツ軍支配層のこころを操っていると非難したという。さらにレイヴェンズクロフトは、シュタイナーが「トゥーレ協会」の悪魔的性質を見抜いていたと指摘する。第一次大戦前、この民族主義団体のメンバーにはオカルト信奉者が含まれていた。

しかし戦後になると、「トゥーレ協会」は、バイエルン社会の高級官吏における強力な右翼的民族至上主義の威力としての姿を呈してきた。
1919年の共産主義者の暴動では、あるテロリスト組織により右翼に武器が供給され、ドイツ民族至上主義と反ユダヤ主義をうたった書き物が配布されたといわれている。そのメンバーにより創始されたのがドイツ労働者党であり、それをヒトラーはナチ党へと転換させたのである。

シュタイナーは公然と、ナチスの秘めた目的についてドイツに警告を行ったため、「トィーレ協会」の暗殺者リストのトップに載せられていた。1923年、「トゥーレ協会」内部に潜入していたヴァルター・シュタインは、シュタイナーをミュンヘン駅の列車内で暗殺する計画を聞いたという。銃身を短く切った散弾銃で、近くから顔を撃つことになっていたのだ。この計画は、シュタインが仲間とともに駅に折よく到着したので、未然に防がれた。この救出のあと、シュタイナーはドイツからスイスに逃れ去った。(77)

 

ヒトラーは、彼自身が二つの大きな力ー外界からもたらされる「神意」と内部からやってくる「直観」、そしてそれを結合するパイプの役割を果たす「内的な神秘の声」ーにより強力に導かれていると公に認めていた。そして、この力はオカルトに根差したものだと多くの人びとが信じていた。(131)

 

「私の知覚は断じて五感を通して得られたものではない。そんな知覚なら、そこまでたどり着く過程を論理的に追跡できるはずである。・・私の場合は、アインシュタインが目や意識を用いたのではなく数字にとって覗き込んだと同じ超次元世界から直観力を用いて知覚を得ているのだ。」
しばらく議論を続けた後、ヒトラーは不思議なメッセージを受け取っていると感じた時の出来事を、「身体の内側から振動するような感覚で、得体の知れない電気に触れられているようだ」と述べたという。そして、いつでもこの衝撃に注意を払えば、言うこと為すことのすべては結果として正しくなると語った。そして、もしそれを無視すれば、後になって「内なる声」に従えばよかったと思わされる結果が必ず待っていたというのであった。
またヒトラーは、直感を得ている瞬間に起こる理性の干渉について「天来の閃きに欠けた他人の影響下にみずからを委ねるようなことをしていては、好機は逃げ去り、それを腹に据えかね頭を叩いて悔しがりながら、もしあの時、最初に感じた通りにしていればというはめに陥るのだ」と罵倒したのである。(137)

 

サスター(とレイヴェンクロフト)は、日本滞在中のハウスホーファーは「緑龍」と呼ばれる密教組織に入門していたという。入門に際しては、意志の力だけを用いて種子の発芽を促し、それを成長させ、数分のうちに花を咲かせるという修練が課されていた。(239)

 


ヘスの部下の一人シュルテ=シュトラハウス博士は、1941年1月、まもなく天文学的に重要な出来事が牡牛座の星位に起こるとヘスに告げた。それは六つの惑星が直列し、満月が重なるときであった。そしてこの現象が起こる日は、1941年5月10日だというのだ。(248-249)