NAVERまとめで作った記事の残骸を保存したものと読書の記録

NAVERまとめをエクスポートした記事と読書の記録

千夜一夜物語 11

気前のよい掌の老人の物語

その方法そのものと同じくらいあてにならない、多くの事情が運に左右されるんですから。そういう事情や運なぞは、論じていたらきりがない。まあ私としては、手持ちの金が全然ない貧乏人だって、少なくとも、多少の金のある場合と同じだけの、金持ちになる機会はあると、こう思う。という意味は、その男は、最初の投資がなくても、たちまちのうちに、大変な金持ちになりうる、それも少しも骨折らずに、単にそれが彼の運命のうちにあるというだけのことでね。それだから、悪い日に備えて倹約しておくなんて言うことは全然無駄だと思う。悪い日も好い日も、アッラーから来るのだからね。報賞者が日々我々にお授けになる福利を、けちけちしてからに、残りを貯えておこうなんて心がけるとは、とんでもない誤算だよ。(323)

 

俺たち貧乏人にはちがいない。だが要するに、金持ちだって、世の中で俺たち以上に何を持っているかね。俺たちだって同じ空気を吸ってはいはしないか。同じ空を、享けていはしまいか。金持ちだって結局のところ、俺たち自身と同じように死んでしまうのじゃないか。(335)

 

ひと塊の鉛も、もし天運が望めば、必ず一人の人間の産を成させることができると予言しなすった(344)