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【ペスト・黒死病】死の舞踏、メメント・モリ(死を想え)まとめ

14世紀に広がった死の舞踏、死の勝利やメメント・モリについて、まとめてみました。

 

▽ ペストの流行を背景に広がった「死の舞踏」

 

14世紀中ごろ、ヨーロッパでの黒死病の流行を背景に広がった、死者と生者が踊る図や詩を「死の舞踏」という。15,16世紀の絵画でも重要なモチーフとなった。
出典 死の舞踏

 

特徴的なことはそこに描かれた人人は、ローマ教皇や皇帝、国王、王女から枢機卿、司祭などの聖職者、騎士や領主、商人や農民、さらに子供までが含まれており、死はそれらの身分や立場を超えて平等にやってくることを示している。
出典 死の舞踏

 

 

 

死の舞踏

 

▽ 身分や貧富の差に関係なく、死は訪れるという死生観

 

死の舞踏は、死の恐怖を前に人々が半狂乱になって踊り続けるという14世紀のフランス詩が(14世紀のスペイン系ユダヤ人の説もある)起源とされており、一連の絵画、壁画、版画の共通のテーマとして死の普遍性があげられる。

生前は王族、貴族、僧侶、農奴などの異なる身分に属しそれぞれの人生を生きていても、ある日訪れる死によって、身分や貧富の差なく、無に統合されてしまう、という死生観である。
出典 死の舞踏 (美術) - Wikipedia

 

死の舞踏 (美術) - Wikipedia

 

死の勝利は広義では死の舞踏に含まれますが、死の勝利は死が鎌を振りかざし、人々を襲っている図になります。死の凱旋とも呼ばれ、有名な作品はピーテル・ブリューゲルが描いたもので、死神が稲を刈るかのように人々の命を奪っています。戦争と死をマッチングした恐ろしいテーマです。
出典 【絵画10点】 死の舞踏と死の勝利 ― 恐怖に染まった狂気の民衆は、仄暗い街で踊る : メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

 

【絵画10点】 死の舞踏と死の勝利 ― 恐怖に染まった狂気の民衆は、仄暗い街で踊る : メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

 

▽ 「memento mori」(死を想え)

 

ラテン語memento mori」が原語で、直訳では「死ぬことを覚えていなさい」という意味。
「人の死を忘れるな」ということではなく、「人間は死すべき運命にあることを自覚して生きよ」という警句です。
出典 「メメント・モリ(memento mori)」の意味とは?絵画様式も解説 | TRANS.Biz

 

「死の舞踏」と同じ時期に「死の勝利」のモチーフも現れました。

骸骨が人々を踊りながら墓場に導く死の舞踏に対して、死の勝利では、死の象徴である骸骨があらゆる階級の人々を襲って蹂躙し、より恐怖が高まる様式で描かれました。
出典 「メメント・モリ(memento mori)」の意味とは?絵画様式も解説 | TRANS.Biz

 

「メメント・モリ(memento mori)」の意味とは?絵画様式も解説 | TRANS.Biz

 

死の勝利 (ブリューゲル) - Wikipedia

 

 

▽ 今を楽しめ、という意味も

 

古代ではあまり広くは使われなかった。

当時、「メメント・モリ」の趣旨は carpe diem(今を楽しめ)ということで、「食べ、飲め、そして陽気になろう。我々は明日死ぬから」というアドバイスであった。

ホラティウスの詩には「Nunc est bibendum, nunc pede libero pulsanda tellus.」(今は飲むときだ、今は気ままに踊るときだ)とある。
出典 メメント・モリ - Wikipedia

 

メメント・モリ - Wikipedia

 

▽ 地位や財産があったとしても、必ず終わりが来る

 

メメント・モリラテン語で「死ぬことを忘れるな」という意味の、宗教的スローガンです。

人間はいつか必ず終わりが来る。地位や財産を持っていても、無一文でも平等に死は訪れます。明日歩いていたら、突然悪魔に魂を抜かれるかもしれない。死神が鎌を持って立っているかもしれない。生きている限り、私たちは死から離れられないのです。
出典 【絵画11点】儚き世、死を想え。―メメント・モリは中世ルネサンスの宗教的スローガン : メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

 

【絵画11点】儚き世、死を想え。―メメント・モリは中世ルネサンスの宗教的スローガン : メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

 

メメント・モリの絵画13点。死を想えという意味の、死の象徴に満ちた主題【第二弾】 : メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

 

▽ 肉体はいずれ朽ちる

 

現代の私達の感覚からしたら、墓石の像は美しく作って欲しいと願うものですが、中世の人々の考えは違いました。

「肉体はいずれ朽ちるもの。現世は儚いものであり、魂が永遠に住まう場所である死後の世界こそ大切にすべきだ。生きている間に徳を積まねば、地獄へ落とされる。故に、死を想わねばならない」と彼等は考えていました。

これはメメント・モリ(死を想え)の思想であり、戦争や疫病で死亡率が高かった中世において普及した宗教的スローガンです。
出典 中世の墓標トランジの彫刻11点。骸骨や腐乱死体の像を彫刻した、メメントモリの一体系 : メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

 

中世の墓標トランジの彫刻11点。骸骨や腐乱死体の像を彫刻した、メメントモリの一体系 : メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-