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タロットの図像学(鏡リュウジ著)

5 教皇

教皇 (タロット)

教皇・・ラテン語の橋 Pontifexはローマ法王を意味する単語で、ラテン語の「橋を架ける者」に由来する。

ローマ法王のツイッター「@Pontifex」登場、質問受付中

 

宗教の本質はヌミノーゼ

ヌミノーゼ

 

6.恋人

「結婚」は錬金術などでも多くにみられるイメージである。 錬金術では、火と水、硫黄と水銀、王と王妃など、本来正反対の性質を もつもの同士が結ばれ、そこから黄金への変容が起こるとされている。 遠近術の心理学的な意味を解釈したユングは、こうした 「対立物の一致」こそが魂の成長において 欠くべからざるものを示しているを示していると考えた。(57)

 

8.正義

枢要徳(カーディナル・バーチュ)プラトン「国家」 正義、節制、賢明、力 (タロットには、「賢明」のカードがない) 黄金の夜明け団のタロット協議のためなのである。 19世紀末にロンドンで設立されたこの魔術結社では、 あらゆる省庁がカバラの神秘図形「生命の樹」に配当され 整備されていた。当然、タロットや占星術のシンボルも そこに当てられる。 ところが、従来の順序のタロットの札を当てると、 力のカードと天秤座が、正義のカードと獅子座が同じところに 分類され、対応してしまうことになる。 ・・ということで、伝統的なカードの順序を入れ替えた経緯があるのだ。 (66)

 

9.隠者

15世紀のイタリアでは、このカードは「隠者」ではなく「時」と呼ばれていたらしい。・・・ヴィスコンティー版で老人が手にしているのは、ランプではなく、砂時計であることがわかる。(68)

ヴィスコンティ・スフォルツァ版タロット

 

クロノス(ギリシャ神話、神々の始祖、現代英語時計=クロックの語源) キャプランは、このモデルを修道院制度を始めた聖アントニウスの姿に重ね合わせてみている。

大アントニオス

 

ランプをかかげる老人ということから、図像のモチーフでは、 哲学者ディオゲネスが思い出される。・・ かのアレキサンダー大王がディオゲネスを訪れて、 何でも望みをかなえてやるといったときに、ディオゲネスが、 ただそこをどいて陽の光を遮らないようにしてほしい、 とだけ要求したという逸話はとてもよく知られている。(69)

 

10.運命の輪

占いにつきまとう「未来は決まっているのか」 「運命というものがあるのか」「運命は変えられるのか」という哲学な問い 運命は手に取ることができないし、ましてそれが変わったかどうか実験のしようもない。・・

確かに運命があるかないかは誰にもわからない。けれど、運命があるような「気がする」、運命があるように「感じられる」のは本当だ。

もし人生がただのランダムな出来事の集積ではなく、ある連続性をもった流れであり、あるいはユングがいうようにひとつの物語であると考えるのなら、その流れを「運命」と呼んでしかるべきではないだろうか。(74)

哲学者ボエティウス「哲学の慰め」

哲学者ボエティウス「哲学の慰め」

運命の車輪は、高きものを低め、低きものを持ちあげるのだ。(75)

 

11.力

人間の理性ではなかなかコントロールできない獣性を、たおやかな女性原理によってやさしく取り扱い、馴化(じゅんか)しているように見えてくるではないか。 その荒々しい力を運命とみなしてはどうだろう。それを支配することも支配されることもなく、中庸をとりながら折衝してゆく姿のようにも見える。

 

・12 吊られた男

聖人の中では第一の使徒であるペテロがすぐさま連想される。 ペテロは、殉教するときに、イエスと同じ形で磔刑にされるわけにはいかないといって、自らすすんで頭を下にした格好で十字架に上ったといわれているのである。(84)

タロットと地獄

 

神が磔になるというモチーフ 人類のために神々の世界から火を盗み出してきた。 しかし神々はその罪をとがめてプロメテウスを岩山に縛り付ける。 岩山には荒々しい猛禽がたくさん住んでいて、これ幸いとプロメテウスの内臓を生きたまま食い散らかすのだ。人間ならすぐさま絶命するところだが、そこは神々の血をひくプロメテウス。死ぬことはないのだ。朝になればまた復活してしまう。

そこで、この苦しみが永遠につづくという話である。・・・ オーディンは世界を支える樹木に9日間と9夜吊るされて、その苦痛と引き換えに秘儀の文字であるルーンを手に入れるのであった。・・ 神々が自らを吊るしその苦痛によって何かを得るというモチーフ、あるいは何かを得たことによって吊るされるというモチーフ 「魂の飛翔の技術」(85)

 

 

13.死神

「三人の死者と三人の生者の物語」 「お前たちは我々のようになるだろう。その前に、自分たちの姿を我々に映してみろ。権力も名誉も富も何の価値もない・死んだときに大切なのは善行だけである」(89)

「死の舞踏」「死の勝利」「メメント・モリ(死を想え)」 死は一つの物質の終焉を暗示している。 錬金術は、ご存じの通り価値のない物質を黄金へと変容させることを目指す技術であるが、その物質変成の過程では「ニグレド」(黒化)と呼ばれるステージを通過するのが定石だ。この時点で、素材となる物質はいったん腐敗し、黒くなって「死ぬ」。しかし、そこから新しい物質として何かが生まれてくるのである。(91)

 

 

14.節制

ウエイトが書いたカードの注釈書では、「単なる節制という表面的な意味以上のものがあるのは明らか」であるとされており、それは人間が達成可能な「永遠の生命の秘密の一部」を表しているという。(93)

ロールシャッハテストのように、タロットを見る者の考えが映し出されたものと考えるほうが的確なのだ。(94) 人の心のなかで永遠に続く誘惑とそれにたいする抵抗を表しているもののように見える。すなわち「節制」と「悪魔」である。(92)

 

 

15.悪魔

15世紀、最初期の手描きのタロット、つまりヴィスコンティ・フォルザやカーリィ・イエールというセットの中では、「悪魔」のカードは欠落していて存在しないからだ。(同じく「塔」のカードも欠落している)(98)

額には黒魔術を象徴する逆向きのペンタグラム(五芒星)が見える。(100)

 

 

16.塔

心理学者のジェイムズ・ヒルマンは、魂は自らを「病理化」して表現するのだといっている。(92)

 

「概念が最も生き生きするのは、それらが具体的に人物化されるとき、とりわけその身体的特徴が喜劇的で、怪物的で、血まみれで、病んでいるときである」 (ジェイムズ・ヘルマン「魂の心理学」)(103)

 

マーリンの予言(105)

マーリン

 

神聖受胎(107)

 

ユング心理学では、意識がかりにも一面的に発達し、片寄ってくると、魂がバランスを取ろうとして、乱暴な形で保証作用を起こすことがあると考える。例えば、あまりにも仕事だけが人生だと考えていて、エロス的な人とのかかわりを避けている場合、あるとき社会的には非常にリスクの高い恋愛にのめりこんで、自分でもコントロールが効かなくなる。そして、場合によっては、その人物を社会的にいったん抹殺することになってしまうかもしれない。タロットの占いでいう、まさしく「塔」の凶暗示である。

しかし、もっと長い目で見れば、あるいは魂自体のことを考えると、たとえそのスキャンダルで失脚することになったとしても、それまで味わったことのない人と人の触れ合いやエロスをそこで知り、一面的な価値観から解放されるのだとしたら、単純に「凶」とばかりもいえないのではないだろうか。(107)

 

17.月

易経の神託、大河を渡る(116)

地天泰 | 易経ネット

無意識的なエネルギーと接触することができなくばれば、人はただ、成功を追い求めるだけの機械のようになってしまい。(117)